群馬県前橋市川曲町501-1 (コメダ珈琲店向かい) 「新前橋駅」から車で約10分

 
静脈内鎮静法

静脈内鎮静法について

静脈内鎮静法・前橋市・かわまがりファミリー歯科

静脈内鎮静法は、腕などの静脈に点滴を通じて鎮静薬(不安を和らげるお薬)を投与し、患者さんを心身ともにリラックスした状態に導く麻酔技術です。眠くなる薬を静脈に点滴すると、個人差はありますが5分ほどでウトウトとした熟睡に近い状態になります。

局所麻酔と併用することで痛みはもちろん、あの「キーン」という不快な治療音まで聞こえにくくなる(気にならなくなる)ため、治療に対する強い不安や恐怖心を和らげることができます。口の奥に器具が入るとえづいてしまう「嘔吐(おうと)反射」がある方にもおすすめです。

完全に意識がなくなる「全身麻酔」とは異なり、歯科医師の「お口を開けてください」といった呼びかけに応じることも可能です。

痛みをなくすのは「局所麻酔」の役割

静脈内鎮静法は、あくまで「不安や恐怖心を取り除き、リラックスさせること」を目的としています。鎮静薬自体に痛みを取る(鎮痛)作用はほとんどありません。そのため、実際の治療においては、通常通り歯ぐきへの「局所麻酔」を併用します。

ただし、鎮静薬が十分に効いてウトウトした状態になってから局所麻酔の注射を行うため、「いつ注射されたのか分からなかった」とおっしゃる患者さんが大半です。

どのような方に向いているか

歯科恐怖症の方
歯科治療に対して極度の恐怖心や不安感がある方。過去のトラウマや音・痛みへの強い苦手意識がある方など。
パニック障害の既往がある方
歯科チェアに座ると発作が起きる不安がある方。閉塞感や緊張が引き金になりやすい方に特に有効です。
嘔吐反射が強い方
奥歯の治療や型取りで「オエッ」となりやすい方。器具が口の奥に入ると反射が起きてしまう方にもおすすめです。
全身疾患をお持ちの方
高血圧・心疾患などの持病があり、ストレスによる血圧上昇や脈拍の乱れを防ぐ必要がある方にも。

静脈内鎮静法の主な特徴とメリット

1強い不安や恐怖心の緩和(健忘効果)
鎮静薬には不安を和らげるだけでなく、「健忘(けんぼう)効果」と呼ばれる作用があります。これは治療中の記憶が残りにくくなる効果のことで、多くの場合、「気づいたら治療が終わっていた」「寝ている間に全て完了した」といった感覚になります。治療に対する精神的なトラウマを防ぐ効果が期待できます。
2嘔吐(おうと)反射の抑制
口の奥にミラーや型取りの粘土、バキューム(唾液を吸う器具)などが入ると、無意識に「オエッ」と吐き気をもよおしてしまう「嘔吐反射」が強い方にとって、歯科治療は非常につらいものです。静脈内鎮静法を用いることで、この反射が起こりにくくなり、スムーズかつ安全に治療を進めることができます。
3全身状態の安定化(血圧・脈拍のコントロール)
極度の緊張や痛みは、血圧の急激な上昇や脈拍の乱れを引き起こします。特に高血圧や心疾患などの全身疾患をお持ちの方にとって、これは大きなリスクとなります。静脈内鎮静法によりリラックス状態を保つことで、これらのバイタルサイン(生命兆候)を安定させ、身体への負担を軽減することができます。
4長時間の治療による疲労の軽減
インプラントの手術や、複数の歯を一度に治療・抜歯する場合、お口を長時間開けっ放しにする必要があります。静脈内鎮静法下では時間感覚が短縮される傾向があるため、長時間の治療であっても「あっという間に終わった」と感じやすく、肉体的な疲労も大幅に軽減されます。

笑気吸入鎮静法との違い

比較項目 静脈内鎮静法 笑気吸入鎮静法
意識 ウトウト(半意識) 保たれる
自発呼吸 維持される 維持される
鎮静の深さ 中程度 マイルド
投与方法 静脈点滴 鼻からガス吸入
入院の要否 外来(日帰り) 外来(日帰り)
治療後の運転 不可(当日) 通常は可能
笑気吸入鎮静法との違いについて
笑気吸入鎮静法は、鼻から「笑気ガス」という気体を吸い込むことでリラックス状態を作る方法です。静脈内鎮静法と比べると効果(鎮静の深さ)はマイルドです。注射が不要で導入が容易であり、治療後すぐに回復して帰宅できる(運転等も可能)という利点がありますが、強い歯科恐怖症やパニック障害の方、嘔吐反射が極度に強い方には、静脈内鎮静法の方がより確実な効果が期待できます。

治療当日の流れと過ごし方

静脈内鎮静法を安全に行うためには、術前から術後まで厳密な管理が必要です。

1術前の準備(絶飲食の指示)
安全確保のため、最も重要なのが「絶飲食(ぜついんしょく)」のルールを守ることです。胃の中に食べ物や水分が残っていると、鎮静状態になった際に嘔吐してしまい、それが気管や肺に入って「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」や窒息を引き起こす重大なリスクがあります。そのため、治療の数時間前(一般的に食事は6時間前、水分は2時間前など、医院の指示によります)から飲食が一切禁止されます。

絶飲食のルールは必ず守ってください
2モニターの装着と点滴の開始
治療室に入り、血圧計、心電図、パルスオキシメーター(血中酸素飽和度を測る機器)などの生体情報モニターを装着します。全身状態を常に監視できる体制を整えた上で、腕の静脈に点滴の針を刺し、鎮静薬をゆっくりと投与し始めます。
3局所麻酔と治療の開始
薬が効いてウトウトしてきたことを確認してから、お口の中に局所麻酔を行います。痛みを感じない状態、かつ不安のないリラックスした状態で治療や手術を進めます。治療中も常に担当医師(または歯科麻酔科医)がモニターを監視し、薬の量を微調整しながら安全を確保します。
4治療終了と回復
治療が終わると鎮静薬の投与を止めます。数分で意識ははっきりしてきますが、しばらくは薬の影響で眠気やふらつきが残ります。そのため、すぐに帰宅するのではなく、クリニック内の回復室などで30分〜1時間ほど休憩していただきます。

静脈内鎮静法を受けられない方・注意が必要な方(禁忌・慎重投与)

以下の条件に当てはまる方は、安全性の観点から静脈内鎮静法を行うことができない、あるいは大学病院などのより高度な医療機関での処置が必要となる場合があります。

妊娠中の方
鎮静薬の成分が胎盤を通過して胎児に影響を及ぼす可能性があるため、原則として実施を控えます。特に赤ちゃんの器官が形成される妊娠初期は避けるべきであり、母体の安全と歯科治療の緊急性を考慮して慎重に判断します。
重度な呼吸器疾患(喘息の発作中、重度の睡眠時無呼吸症候群など)がある方
鎮静薬には呼吸を浅くする作用があるため、もともと呼吸機能が低下している方や喘息発作のリスクが高い方には適しません。また、重度の睡眠時無呼吸症候群の方も、鎮静状態になると気道が塞がりやすく呼吸抑制のリスクが高くなります。
気道確保が困難な身体的特徴(極端な肥満、小顎症など)がある方
万が一、呼吸が極端に浅くなるなどの緊急事態が起きた際、首周りの脂肪が厚い方やあごが極端に小さい方は、酸素を送るチューブを入れる処置(気道確保)が難しくなります。迅速で安全な蘇生処置の妨げになる可能性があるため、実施を見送るケースがあります。
重度の全身疾患(コントロールされていない心疾患や肝機能・腎機能障害など)がある方
鎮静薬は主に肝臓で分解され腎臓から排泄されるため、これらの機能が低下していると薬が効きすぎたり体内に長く残ったりする恐れがあります。また、重篤な心疾患がある場合は、わずかな血圧の変動が大きな負担となるため専門機関での厳重な管理が必要です。
使用する鎮静薬に対するアレルギーの既往がある方
過去に鎮静薬で発疹やアナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応を起こした経験がある方は、安全のため同じ薬を使用できません。また、使用する薬の種類(プロポフォールなど)によっては、大豆や卵アレルギーが原因で反応が出ることがあるため、事前の詳細な問診が不可欠です。

起こりうる副作用とリスク

術後の眠気・ふらつき
治療後もしばらくは薬の作用が残ります。そのため、当日は自動車、バイク、自転車の運転は厳禁です。術後は休憩室をご用意しておりますのでそちらでお休みください。また、帰宅時や帰宅後の転倒リスクがあるため、公共交通機関を利用するか、ご家族の付き添いが強く推奨されます。
呼吸抑制のリスク
鎮静薬の作用により、呼吸が浅くなる(呼吸抑制)ことがあります。これを防ぎ、万が一の場合に即座に対応するために、生体モニターでの厳重な監視と、酸素吸入の準備が必須となります。
アレルギー反応
稀に、使用する鎮静薬に対してアレルギー反応(発疹、かゆみ、重篤な場合はアナフィラキシーショック)を起こす可能性があります。
注射部位の痛み・内出血
点滴の針を刺す際に痛みが生じたり、抜針後に内出血(青あざ)が残ったりすることがあります(通常は数日で自然に消退します)。

費用について

保険適応
虫歯治療など治療内容が保険診療の場合
3割負担で受けられます。
自費診療
自費診療の場合
1回につき30,000円かかります。

静脈内鎮静法は、歯科治療に対する「怖さ」や「つらさ」という大きなハードルを下げるための非常に有効な選択肢です。しかし、全身の管理を伴う医療行為であるため、専用の設備(生体モニターや回復スペース)と、麻酔や全身管理に関する十分な知識・経験を持つ歯科医師または歯科麻酔科医が在籍している医療機関で行う必要があります。

ご自身の持病や体質、現在服用しているお薬(お薬手帳)の情報を正確に歯科医師に伝え、メリットだけでなくリスクや術前術後の注意事項についても十分に説明を受けた上で、納得して治療に臨むことが大切です。歯科治療への不安が強い方は、かわまがりファミリー歯科にお問い合わせください。

© かわまがりファミリー歯科